束の間の安らぎ

     品川区の児童養護施設「六踏会景徳学園」を訪問しました。コーディネーターの方からアポイントを戴き小一時間の面談。酷暑から逃げるように玄関でスリッパに履き替えてロビーに上がると、正面の廊下の壁の足元に、何か子供たちの作品のような絵が何枚か置いてありました。座り込んでよく見ると画用紙に枯葉を幾つか貼り付けたもので、葉っぱの一つ一つが愛らしい顔に仕立ててあるのでした。葉っぱの周りには楽しそうなブランコや滑り台。そう、画用紙には溢れんばかりの絵心が踊り、目と口を授かった枯葉たちは生命を得てこう語り掛けてきたものです。 『僕を描いてくれた子を宜しくね、その子と友達になってくれたら嬉しいなあ!』って愛くるしい声が聴こえてきました。私を迎えてくれたのですね。その愛らしさに外の暑さなど忘れてしまいましたよ。子供たちにとっては、暑いも寒いも季節の装いのひとつなのでしょうね、きっと。子供たちの小さな背中が、か細い腕(かいな)が、すくっと伸びた元気な両の脚が、そして光る肌の何処もかしこも、四季のそれぞれの豊かな衣に優しくくるまれているので、暑くもなければ寒くもない。子供たちはまだ自然の一部なので、その日は枯葉になったんだね。照れながら、精一杯の自己紹介なんだよね!

  ㈱ヒューテック 早崎ひろし